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小麦粉の話 <その1>
第一回目は、私どもがお世話になっている原材料の中でも、最も重要な小麦粉についてその秘密を探ってみます。
六千年の歴史を持つ小麦粉
小麦粉の歴史は約六千年前、地中海で始まりました。それまでの狩猟生活から安定した農耕生活へと人類の文明は大きく変化しましたが、その中心は小麦の栽培と、アジア地域で始まった稲作に大きく2分されます。
小麦の栽培が中国に伝わったのは紀元前のことですが、日本に伝わったのは3,4世紀頃のこととされています。
ここが違う、米と小麦
食料としての米と小麦の最も大きな違いは、粒のまま食べるか、粉にして食べるかということでしょう。米は外皮である籾殻(もみがら)が比較的壊れやすく米粒が硬いので、精米をして粒のまま食べるのに適していますが、小麦は外皮が非常に硬いのですが、粒の部分が柔らかくもろいので、粉に挽いて粉食として食べるのに適しています。
日本に伝来した小麦は、日本の国土、気候の影響で特に麺に最も適した、柔らかい粘り強い特性の小麦品種になりました。これによって日本で独特のうどん、素麺等さまざまな麺が作られるようになりました。
柔らかく粘り強いオーストラリア産
現在では日本で栽培されている小麦の自給率は10%程度で、麺用の小麦の殆どを輸入に頼っています。
日本の小麦の輸入量は現在、アメリカ、カナダ、オーストラリア、の順に多く、アメリカ、カナダ産は主にパン、菓子用。オーストラリア産が麺用に使用されています。これは、パン用に要求される小麦の品質と、麺用に要求される小麦の品質が全く異なるためです。
アメリカ大陸で栽培された小麦は一般的に澱粉質が硬く、オーストラリア大陸で栽培される小麦は柔らかく粘り強く、麺に適した特性を持っています。
小麦粉の話 <その2>
前回に続き、小麦粉についてさらに詳しく探ってみます。うどんのおいしさの秘密、「こし」について見ていきます。
粘りの素はグルテンに
うどんに適した中力粉(薄力粉と準強力粉の中間の硬さの小麦粉)の場合、最も多い成分は澱粉で約77%、水分が14%前後、そして蛋白質が約8〜9%程度含まれています。小麦粉が他の粉上の食品と大きく違うのは、水を加えて練ると、接着剤のように粘りを持つグルテンという物質に変化する蛋白質が含まれていることです。麺類やパンの場合、小麦粉をこねて粘りのある生地が容易に作れるのはグルテンの作用ですす。
蕎麦粉にも蛋白質は含まれていますが小麦粉の蛋白質とは違い、水を加えても粘りは生まれません。そのため、蕎麦ではグルテンの接着剤としての性質を利用するため、つなぎとして小麦粉を使うのです。
なぜうどんはこしがあるのか
うどんのこしの強さを鉄筋コンクリートの構造に例えると、縦横に立体的に配置された鉄筋と鉄筋の間にびっしりつまったコンクリートの相互作用で強度が保てます。
うどんの場合はこの鉄筋に相当するものがグルテンの立体的な網目状組織で、コンクリートに相当するものが澱粉粉です。グルテンの網目状組織は生地を適度な力で鍛えることによって形成されます。
そのため、うどんも無理に過大な力を加えたり、力不足であったりすると、グルテンの組織が破壊されたり、あるいは十分にグルテンの組織が形成されないということになります、コシのあるうどんはできません。
私どものうどんは生地に無理な力を加えず、十分寝かせて(熟成させて)理想的なグルテンの網目状組織ができるように麺作りを行っています。
グルテンと澱粉の関係
グルテンの網目状組織の次に大切なのはコンクリートに相当する澱粉の品質です。麺類は食べる前に必ず茹でます。一般的に蛋白質は熱を加えると硬くなります。(蛋白質の塊である卵を思い出して下さい。)
当然、小麦粉に含まれているグルテンも茹でると硬くなり、固まります。ところが澱粉は水と熱を加えると糊状になり、粘りがでます。(例えば片栗粉を水で溶いて加熱した状態です)うどん、あるいは麺類も茹でて加熱した場合、粘り強さは澱粉の性質によって変わります。つまり、通常うどんの「こし」と呼ばれるものは小麦粉に含まれている蛋白質、すなわちグルテンの硬さと澱粉の粘りがうまく合成されることによって初めて可能になり、硬さではなく、柔らかく、しなやかさで弾力性のある、独特の食感が生まれるのです。
私どもはこの理想的なグルテンの網目状組織を作るために日夜研究しています。
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